■2000年に入ってから

 群馬に移ってからはや半年。
 しばらく日記の更新を怠っていたのは、書くことがなにもなくなってしまったから。
 毎日普通に生活できるようになってしまうと、クローン病だからといって
 書くことがなくなってくる。
 今は、家族で普通に生活を送っている。

 子供は、この4月から群馬の幼稚園に通い始めた。
 僕は、群馬に借りている家の2階を事務所にして東京の会社とは
 メール、電話でやりとりをしながら仕事をしている。
 通院は月に一度。

 病院はあいかわらず入院したときにお世話になった千葉の病院なので、
 月に一度は千葉へ行って一泊してくることになる。
 (千葉のマンションは、このためだけに残してるようなもの・・)

 もちろん、毎日薬を飲み続けているが、あとはいたって平和に暮らしている。
 病院の先生は一年のうちで、同じ時期に悪くなるパターンを繰り返すことが
 多いというので、初夏から夏までは警戒していた。今は5月も終わりかけている。

 田舎に引っ越すことが病気に対してどれほどの意味があるのかは、今もよくわからない。
 ひょっとしたら引っ越さなくても結果は同じだったのかもしれない。
 しかし、「千葉に住んでいると体に悪いかもしれない」と思いながら千葉にいるよりは
 自分に言い訳をしなくてすむ。
 ささいなことでも実行に移していくのは、端からみればワガママに見えるかもしれない。
 しかし、ワガママを通すのにはそれなりの覚悟がいる。
 「病は気から」というが、自分を甘えさせない気持ちが大事なのではないかな。

 クローン病の患者は、毎年、2ケ月くらいの入院が必要と言う。
 実際、僕と一緒に入院していた同じ病気の全員が毎年入院している。

 でも、それって誰が決めたのかね?みんな、医者が決めたから入院するのか?
  僕は自分で決めたし、これからも自分で決める。
  「入院の必要はない。」「入院しない。」「仕事を続ける。」

 仕事もだいぶペースに乗ってきた。どこまが危険で、どこまでが安全なのか、
 この半年でだいぶ把握できた。
 寝不足は大敵だ。かならず調子が悪くなる。
 早寝早起きが一番のようだ。

 食事は、半年前よりも、さらに厳しく制限している。
 食べ物に関しては、病院で教わること含め、世の中の情報は当てにならない。
 自分の体で試しながら経験でおぼえていくしかない。
 いろいろ試した結果、余計なものは食べないことが良いらしいという結論に
 至っている。あれこれ試すのも面倒になってきた。
 以前は「何なら食べても大丈夫なのか?」であったが、
 今は「食べる必要のないものは食べない、試さない」である。
 慣れれば、さほどつらくない。

 先日、退院して始めて九州まで泊まりがけで出張に行ってきた。
 正直怖かったが、女房(看護婦免許をもっている)についてきてもらって
 挑戦した。
 次回の課題は、旅行時の食べ物。
 栄養剤はとてもではないが、1泊だとしても必要分持っていくのは重くて難しい。
 (千葉のマンションには栄養剤のストックがあるので問題ない)
 僕の場合、仕事柄、ノートパソコンはどこへ行くにも必携である。
 その上で栄養剤を持って移動していたらそれだけで体調が悪くなってしまう。
 今回は仕方なく、ほぼ絶食状態で行って来たのだが、これは正直つらかった。
 やはり人間の体が動くにはエネルギーが必要らしい(笑)。
 次回の外泊には、なんらかの工夫が必要だ。

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